若年人口が豊富で、デジタルインフラも急速に拡充する東南アジア。YouTubeはもはや生活の一部に溶け込み、現地のSNS利用時間は平均で毎日4時間、うち3分の1近くがYouTube視聴に充てられているというデータもあります。
この地域のYouTube利用率の高さは、日本の数倍との調査も報告されており、東南アジア × YouTuber × 日本人活躍という構図は、まさにマーケティングやブランディングの強力な切り札となり得ます。
本記事では、フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムを対象に、それぞれの国で存在感を放つ日本人YouTuber/ 日本向けに情報発信をする現地拠点YouTuberを厳選してご紹介します。
- 1.フィリピン
- 2.インドネシア
- 3.タイ
- 4.ベトナム
- 5.マレーシア
- 6.シンガポール
- CAPSULE事例:タイの人気クリエイターが台湾・台東県を訪問
- まとめ
1.フィリピン
人口は約1億1,270万人でASEAN内2位の規模を誇ります。サービス産業が経済の約6割を占め、近年はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やデジタル分野が急成長中。2025年のGDP成長率は5.5〜6.5%が見込まれ、ASEANの中でも高い水準です。英語話者が多く、グローバルな視聴者層にリーチしやすいことから、日本人クリエイターにとって海外展開の重要拠点となっています。
①Fumiya / FumiShun Base
元「Pinoy Big Brother」出演者としてフィリピンでも知名度を持つ日本人YouTuber。日本語中心発信から、現地層を意識して英語・タガログ語を併用。フィリピン文化紹介、現地生活Vlog、チャレンジ企画など多角展開。2024年5月末に「最終Vlog」を投稿。現在はFuMiとして活躍中。For u, Making impactをテーマに掲げ、フィリピンと日本の架け橋になることを目指す。楽曲は日本とフィリピンの文化を融合しており、FuMi独自の世界観で人々に影響を与える。登録者数約231万人。
②JPinoy Vlogs
“JP in (Pinoy)” というネーミングから、日本人または日系視点を交えたフィリピン生活体験の動画。旅行・食・観光名所・リアクション系など多ジャンル展開。日本とフィリピンを行き来する人にとって有益な対比企画などを行っている。登録者数約35万人 。
③123Japan
日本人女性がフィリピン向けに発信するチャンネルとしてはトップクラスの登録者数を有しているYouTubeチャンネル「123Japan」。台湾を拠点に活動し、アメリカとフィリピンに留学経験のある「三原JAPAN」のマナが英語で発信しています。
内容は外国人目線でのフィリピン文化の体験や、フィリピングルメの紹介、そして得意のダンスを活かしたカバー動画など幅広いジャンルの動画を公開し、彼女の愛くるしいキャラクターもフィリピンのファンの心を掴んでいます。登録者数約63万人。
2.インドネシア
人口約2億8,400万人で世界第4位、ASEANの人口の約4分の1を占める巨大市場。日本の約5倍の国土を持ち、30歳未満の人口が全体の半数近くを占める若年層中心の構造です。2018年以降、年率5%前後の経済成長を維持し、2040年頃まで続くとされる「人口ボーナス期」により、デジタル消費やエンタメ市場の拡大が加速。YouTuberにとって極めて魅力的な発信拠点となっています。
インドネシアは現在、世界で第4位(約2.84億人)の人口を抱え、ASEAN全体の人口の約4分の1を占める巨大市場です。15〜64歳が約69%を占める若年中心の人口構造も見逃せません。この“人口ボーナス”は2040年にかけて継続するとされ、デジタル消費、エンタメ分野への日本人コンテンツ発信者にとって、今まさに黄金の市場ともいえるフェーズです。
①Nihongo Mantappu
3年前に早稲田大学の大学院で数学を学んでいた男子留学生ジェローム ポリンさんが日本語や数学の知識、インドネシアの教育について発信するチャンネル。登録者数1070万人。その影響力の高さから、アメリカの経済誌『フォーブス(Forbes)』のアジア各国で活躍する30歳未満の若者たちを選出する「30 under 30 Asia」にも選ばれており、母国インドネシアでは本の出版や、飲食店を展開するなど実業家としての顔を持つ有名インフルエンサーです。ちなみにYou Tubeチャンネル名の「Nihongo Mantappu」はインドネシア語で「日本語最高」という意味。各分野で活躍する在学生を紹介する早稲田大学の公式ホームページに彼のインタビュー記事も掲載されています。
②Neo Japan
日本在住のインドネシア人男性と日本人女性の国際結婚カップルのYouTubeチャンネル。国際結婚カップルの文化の違いや日常などを発信しています。動画の内容は日本での生活の様子はもちろんのこと、日本にあるインドネシア文化の紹介、日本人にインドネシア文化を体験してもらう動画も人気シリーズ。動画の中でも仕事を見つけた時の様子や、お子さんが生まれて初対面する動画など感動系の動画は再生回数も多く、500万回再生以上を記録しています。登録者数235万人。
③Ria SW
インドネシアのストリートフードやローカル市場を中心に食レポ・旅動画を多数投稿。日常と“ちょっとした非日常”をミックスし、視聴者を現地体験へ誘うスタイル。コメント反応が高く、ローカルブランドや飲食チェーンとのタイアップ実績多数。日本食・アジア食比較企画等も手がけており、日本企業の進出プロモーションとの親和性も高い。登録者数約460万人。
3.タイ
人口約7,170万人を抱える東南アジア有数の観光・製造拠点。出生率は1.0と低く、高齢化が進行する一方、観光業・サービス業を中心に外国人市場の取り込みが活発です。2025年のGDP成長率は約2.3〜2.9%と予測され、経済構造の多角化が進行中。日本文化やコンテンツへの関心が高く、日タイ交流系YouTuberにとって安定的な視聴基盤があります。
Beam Sensei
日本在住のタイ人で日本とタイ、それぞれの文化や言語について紹介している。動画はタイ語と流暢な日本語で両方で発信しているため、日本人とタイ人どちらも楽しめるコンテンツを発信しています。日本に興味のあるタイ人のファンも多いことから、過去には日本企業とのコラボレーションも多数行っています。登録者数約125万人。
WabisabiTV
俳優としてタイで人気になり、自身がメインキャストのSUGOI JAPANという番組も大ヒット。タイで人気のある日本人チャンネルの一つ。日本の観光地をTVやYouTubeを通してタイ人に紹介する界隈のパイオニア的な存在の方です。登録者数約98万人。
4.ベトナム
人口約1億300万人、かつての若年人口優位を背景に急成長を遂げた国です。2025年のGDP成長率は6%超と予測され、ASEANでも屈指の高成長を維持中。ただし出生率は1.91と置換水準を下回り、長期的には高齢化が課題となります。輸出産業やデジタル化推進が進む中、現地に根ざしたYouTubeコンテンツは視聴者とのエンゲージメントを高めやすく、成長市場でのブランド構築に有利です。
VIETNAM KUN
「ベトナムくん」として知られる、日本人でベトナム好き、ベトナム人向けに配信している日本人YouTuberとなります。YouTube以外にもTwtterやFacebookで合計100万人のフォロワーを抱えています。動画コンテンツは、日本の情報をベトナム人向けに発信しており、企業案件などを多く扱っています。登録者数93万人。
5.マレーシア
マレーシアの人口は約3,400万人で、出生率はやや低下傾向にありますが、市場として安定した構造を維持しています。
経済面では、2025年第2四半期のGDP成長率が前年同期比で約4.4%と、堅調な家計支出や観光回復、インフラ投資に支えられて、政府・市場予測に近い値となりました。IMFが成長率を4.5%と上方修正したように、構造改革や地域経済の回復力に期待が集まります。
こうした安定指標と慎重な成長見通しが共存する環境は、日本人YouTuberがローカライズしたコンテンツを発信するうえで、信頼と共感を高めやすい土壌が整っているといえます。
MalayPanTV
日本人とマレーシア人の国際カップル・日常Vlog系コンテンツを発信。マレーシアの暮らし、文化紹介、移住事情、ローカル食レビューなど幅広くカバー。視点が“ハーフ・国際結婚”なので、日本人視聴者に親しみやすく、実用性も高い。ローカル広告・タイアップ案件(観光、生活用品、移住支援)と親和性 strong。登録者約62万人。
6.シンガポール
人口約592万人の都市国家で、外国人比率が38%を超える多国籍社会。金融・物流・IT分野で世界的ハブとして機能し、GDP成長率は2025年第2四半期に前年同期比4.4%と好調です。安定した経済・高い購買力を背景に、グローバル展開を狙うクリエイターにとって理想的な発信拠点。英語を基盤とした多言語市場で、日本文化発信や観光PRに適しています。
Ghib Ojisan(ジブおじさん)
シンガポール在住の日本人旅系YouTuber。2025年時点の登録者数は約35万人で、2か国語(日本語+英語)を駆使して現地文化・屋台・都市ライフを紹介。屋台巡り、隠れスポット、生活比較など、ローカル視点を「日本人ならでは」の切り口で発信。最近は家族/子育て系動画も展開し、視聴層の幅を拡大中。PR案件実績も多数あり、旅行・飲食・日系企業のシンガポール進出支援と親和性高し。
CAPSULE事例:タイの人気クリエイターが台湾・台東県を訪問
台湾・台東県政府の依頼を受け、CAPSULEはタイ人観光客誘致プロジェクトを支援しました。台北など主要都市に集中しがちなタイ人旅行者層に対し、台東県が持つ雄大な自然や食の魅力を効果的に訴求することが課題でした。
【概要】 タイの若者文化を熟知した人気クリエイター「Frennicha(フレニチャ)」をアサイン。彼女の視点で台東県の美しい景色、多様な食文化、ユニークなアクティビティを紹介する動画を制作しました。
事例詳細:【観光PR事例紹介】タイの人気クリエイターが台湾・台東県を訪問
CAPSULEが選ばれる理由は、アジア主要国に展開する自社拠点のネットワークと、IP/KOL両面での実行力にあります。
- 現地に根ざした知見: 台湾・韓国・東南アジア市場の消費者インサイト、現地のSNSトレンド、リスク管理まで、机上のデータではない生きた知見を提供します。
- 強力なクリエイターネットワーク: 各国のトップクリエイターとの強固なリレーションシップを活かし、ブランドの信頼性とファンへのリーチ力を最大化します。
- クロスボーダー戦略: 単一国に留まらず、複数国を視野に入れた効率的かつ横断的なマーケティング戦略を立案・実行可能です。
CAPSULEでは単発のプロモーションから、ブランド認知を高める長期的なアプローチまで幅広くご提案可能です。「どの国の、どのYouTuberに依頼すべきか分からない」「現地での炎上リスクを抑えたい」といったお悩みにも、現地に根ざした知見で対応いたします。
まとめ
東南アジア向けに活躍する人気YouTuberをご紹介しましたが、YouTubeの世界は変化が早く、わずか半年で一気にトップクリエイターへと躍進するケースも珍しくありません。今後も新たな動きや注目のニューカマーが出てきた際には、随時アップデートしてご紹介してまいります。
世界的に見てもSNS利用率が高い東南アジアにおいて、YouTubeをはじめとするSNSを活用したマーケティングは極めて有効です。ただし「同じアジア」とひと括りにできず、国ごとに視聴者特性・好み・購買プロセス・顧客対応のスタイルが大きく異なる点には注意が必要です。
そのような背景を踏まえ、国別の文化や消費行動を理解した上で戦略的に取り組むことが成果につながります。
CAPSULEでは、東南アジア市場に向けたSNSマーケティングの企画・実行支援を行っております。単発のプロモーションから、ブランド認知を高める長期的なアプローチまで幅広くご提案可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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