TikTokで流行りの音楽に中華メイク。イマドキJKも追う「流行の最先端」は、近年、お隣の国「中国」から来ているといっても過言ではないのでしょうか。中国で絶大な人気を誇るインフルエンサーが、ライブコマース形式でメイクアップ用品を紹介すれば、飛ぶように売れる。キムタクやAKBなど日本の有名人もこぞって、中国のSNSに力を入れています。
人口が14億人、スマホ台数が16億台というとんでもない「単一市場」を持っている中国。前回の「圧倒的な影響力を誇る台湾のSNS事情。テレビ局もネット配信の時代へ?」での台湾SNS事情に引き続き、中国に1年間住んでいたこともある筆者が、今回は中国の「SNS事情」という巨大な市場について紐解いていきます。
FacebookやLINEが使えないってホント?実際のところ中国のSNS事情はどうなっているのか
私たちにとって身近な「SNS」といえば、メッセンジャー形式のものだと「LINE」、「Facebook」に「Instagram」、そして動画配信サイトの「YouTube」がメジャーではないでしょうか。前回紹介した台湾も、利用者の数や影響力は違えど、利用されているアプリ自体はほとんど日本と同じでした。
しかし中国(大陸)では、中国政府が「グレートファイヤーウォール」というネット規制を実施しており、外国企業が開発した多くのSNSを利用することが出来ません。「グレートファイヤーウォール」のネット規制はSNSだけではなく、検索サイトであるGoogleも使用できません。
実際には、有料・無料で配信されている「VPN」を使用することで、「グレートファイヤーウォール」の壁を回潜ってこれらのサイトを利用することも出来ます。ただ、この「VPN」回線は、利用者の規模がある程度大きくなると、中国政府に見つかり使えなくなる傾向にあり、「新しいVPN会社に切り替える」を数ヶ月〜数年単位で繰り返すことになるので、現地に住む中国人や長期滞在者にとってはとても面倒なのです。
その代わり中国には「中国版LINE」や「中国版Facebook」、「中国版Google」といわれるSNSがあります。こちらは「VPN」を使いながら利用する海外アプリと違って、爆速で使い勝手がとても良く、中国生活インフラのすべてをカバーしてくれるので、結果として中国では「独自のSNS」の利用者が、ネット利用者のほとんどを占めています(外国語の資料が少ないので、外国人には辛いですが慣れます)。
「中国独自のSNS」にはどんなものがあるのか。ランキング形式で見ていきましょう。
出典:グレートファイアウォール(金盾)とは!世界最高峰のセキュリティを誇る中国の壁
中国国内で人気のあるSNSは?とりあえず抑えておきたいTOP3
【TOP1】もはや生活インフラ「微信(wechat)」がない生活なんて考えられない!
堂々の第1位は、中国のシリコンバレー「深セン」のトップ企業「テンセント」が運営する「微信(wechat)」。超簡単にいえば中国版LINEといったところです。日本ではまだあまり馴染みがないかもしれませんが、LINEなどのメッセンジャー機能以外に、アルバム機能やFacebookのような投稿機能、決済機能をかなり早い段階から持っていました。
世界には11億人近い利用者がおり、中国国内では16〜64歳までのインターネットユーザーのうち78%が利用しているSNSです。中国のインターネットユーザーは約8億5400万人なので、国内でもおよそ7億人近い利用者がいます。
出典:DIGITAL 2020 CHINA(p12,17,39)
今では当たり前になった、チャットのボイス入力の発端も「微信(wechat)」。中国語は拼音入力よりも手書きで文字入力をする人が多く、「漢字」を打つ煩雑さからなのか、それとも識字率からなのか、かなり早い段階から「ボイスメッセージ」機能が使われていました。
また「微信(wechat)」では「モーメンツ」という、登録している友人が投稿したフィードを見れる機能があり、日本でいうとLINEの「タイムライン」に近い感覚です。まず9枚以内で投稿したい写真を選び、文字や場所などを入力する形式。「文字ありき」のTwitterとも、「写真ありき」のインスタとも違い、FacebookとLINEのタイムラインを持ち合わせた使いやすさです。
筆者のフィード:中国在住の友人の書き込みで溢れている
投稿画面:UXデザインは昔からほぼ変わっておらず、とてもシンプルで使いやすい
【TOP2】ニュース兼SNS!新浪微博(Weibo)中国版Facebook
新浪微博(Weibo)は、中国の「ミニブログ」と呼ばれるSNS。
大手の企業や芸能人も多くアカウントを持っており、日本でいうなら、「Ameba」と「Facebook」「Twitter」を兼ね備えたようなSNSだと、筆者は思っています。
中国のインフルエンサーだけでなく、キムタク(木村拓哉)やAKBなど、中国で知名度のある日本の有名人も利用しています(ユーザーのほとんどが中国人ということもあり、インスタなどより気兼ねなく情報発信している日本のユーザーが多く、見ていて楽しいです)。
中国語で更新されてるキムタク(木村拓哉)のWeibo
「微信(wechat)」が身内の情報をチェックできるのに対して、新浪微博(Weibo)では芸能人やニュースなど。オフィシャルな情報収集SNSとして利用されています。
【TOP3】質の良い書き込み掲示板?「百度貼吧」とは
中国版Googleと呼ばれる検索サイト「百度(Baidu)」が提供するコミュニケーションプラットフォーム。「百度(Baidu)」アカウントを持っている人たちがする「書き込み掲示板」で、社会・生活・教育・体育・ゲームなど、いろんなカテゴリーがあり、自分と同じ趣味を持った人に出会える討論サイトです。
「Yahoo!掲示板」や「Google+」「2ちゃんねる」的な要素もあるのですが、「匿名」ではないので信用度も比較的高いです。
【TOP3外だけど…】絶対に抑えておきたい成長中のSNS「抖音(TikTok)」
日本を含む海外でも大人気の「抖音(TikTok)」。
中国のバイトダンス社が運営する「斗音」は、中国語の発音では「DOU YIN」といい、海外向けには英語で「TikTok」という名前をつけています。欧米をはじめ、世界中でも人気のあるアプリなので、中国のSNSとは知らないで使っている人も多いのではないでしょうか?
筆者も、日本の友人からよく「斗音ってなに?Tiktokとどう違うの?」とよく聞かれます。写真や文字を投稿するSNSが飽和する中で、「抖音(TikTok)」に人気が出たのはやはり15〜60秒の短い「動画投稿・配信アプリ」というトレンドさにあったのではないかと思います。
キャッチーで可愛らしい音楽とともに動く、憧れのインフルエンサー。個人的には、媒体の性質上「前向き」な投稿が多いのが好きで、時々見ています。
「抖音(TikTok)」の大流行に伴って、「抖音(TikTok)」で使うための60秒以内の音楽もたくさん作られています。短い時間の中では、リズミカルできりの良い音楽がよしとされており、「音楽」業界にも影響を与えているのではないでしょうか。
さいごに
中国では、約14億4000万人のうち、スマホ台数が16億4000台と言われています。そのうち10億4000万人がSNS(ソーシャルネットワーク)を利用しています。
現在は高画質カメラ付きのスマホも増えているので、ライブコマースやSNS利用のために2台持ちしている人も多いのかもしれません。それほど「スマホ社会」が根付く中国。単一の市場でこれだけの多くのSNS人口を持つのは、世界中を見渡しても、中国だけではないでしょうか。
中国のSNS人口は、2019年の4月〜2020年1月までのデータを見ても、+1500万人増加といまだに増え続けています。中国のSNSにご興味がある方は、ぜひいちどダウンロードしてみてください。この記事が、すこしでも中国のSNS事情の参考になれば幸いです。