約14億人が暮らし、日本の26倍の広さもある中国。人口も文化も日本と大きく異なることから、ECサイトも日本とは大きく状況が異なります。
今回は、中国のECサイト事情を2020年7月に発表されたこちらの最新のランキングに合わせてご紹介するとともに、中国在住スタッフからヒアリングしたリアルな声を織り交ぜながら中国ならではの特殊事情についても触れたいと思います。
・中国ECサイトの市場規模について
・中国ECサイトランキング
・中国ならでは!?中国ECサイトの特殊事情
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参考:外務省 中国基礎データ
中国ECサイトの市場規模について
①中国ECサイトの市場規模と最新情報
経済産業省が2020年7月に公開した報告によると、2019年度のBtoCのEC市場規模は、中国が1 兆 9,348 億 US ドル(約204兆円)であり、第2位のアメリカとは3倍以上。圧倒的に世界1位の市場になります。
前年度比から見ても、1.2倍と驚きの成長率。また、今後は中国の農村部のEC利用が本格化すると考えられているため、これから市場規模が拡大するとみられています。
あわせて中国政府も、2019年1月には中国で初めて電子商取引である包括的な法律が施行。主に消費者保護を目的にした様々な法律の整備がなされました。罰則規定も明記されていることから、ECサイトの利用者の安心感につながりさらなるEC市場の活性化が期待されています。
②国内だけでなく海外からも。拡大する中国EC市場
中国のECプラットフォームのシェアは、大手のアリババ(阿里巴巴)が55.9%、JD.com(京東)が19.7%の2つがシェアを大きく占め、およそ80%のシェアを占めています。
また、中国ではまだ日本では一般的ではない海外から商品を購入する越境ECの利用も非常に盛んです。中国の越境ECの利用率は42%で、日本の6%から比べるとかなりの高い数字。主な購入品としては、化粧品や美容関連用品、トイレタリー用品、食品や家電など生活周りのものを購入する方が多いよう。
この背景の一つとして中国政府は、元々、2015年3月より海外から購入した商品の手続きの利便化と税率の軽減を行う「越境ECの実験特区」を設置。指定された特区は主に大都市がメインでした。しかし、2019年12月に新たに追加された都市には、中国内部の中規模の都市にも拡大されています。このようなことから、越境ECが農村部へ浸透していくのも時間の問題と推測されています。
③話題のECサイトもご紹介!中古ECサイト事情
中国はCtoCの中古ECサイトも盛んです。2020年度の市場規模は約15兆円に達するという見込みがあります。主な取引用品は家電や衣服ブランドバックなどが主なもので、上海在住の中国人スタッフによると、アリババグループ傘下「闲鱼」が多くの人に利用されているそう。
ですが、最近は中古ファッション系ECサイトの「紅布林」が注目を浴びています。「クローゼットにある着ない服を、捨てずに売ってしまおう!」というコンセプトで始まったサイトで、多くの高級ブランドを取り扱っています。
それに加えて「红鉴研究所」と題して、中国のSNSプラットフォーム「bilibili」でコンテンツを発信。ある動画では、道行く人たちが、偽物と本物のブランド品バッグを見極められるかを検証する動画も配信。動画の最後には、プロによる本物と偽物の見分ける方法を紹介し、中古ECサイトを利用する際に不安に思う点を上手く解消する工夫を行っています。
中国ECサイトランキング
毎年中国のECサイトのランキングを発表している「TMO」が2020年7月に発表した内容に沿って、ベスト3位は下記の通りです。
1位:天猫商城(tmall.com)
2位:タオバオ(淘宝)
3位:jd.com(京東商城)
昨年度は2位だった「天猫商城」が1位に!それぞれ詳細をご紹介したいと思います。
①信頼と安心で人気の「天猫商城(tmall.com)」
「天猫商城(tmall.com)」は、中国で様々なサービスを展開するIT企業のアリババが運営する2013年の解説されたBtoC向けのECサイトです。日本で言う楽天市場のように、各店舗が天猫商城内に出品し、それぞれ発送する形態を取っています。
タオバオのグレードアップ版というイメージで創り出され、一時期中国国内のECサイトで偽物が問題になった中、「100%本物を売ります」というキャッチコピーで信頼や安心を勝ち取っています。
また、Amazonグループのウェブ統計会社「Alex」によると2020年4月現在で世界で3番目に見られているサイトとしてランクイン。いかに中国の多くの人々に支持されているかが分かるかと思います。
②中国でECサイトの先駆者!「タオバオ(淘宝)」
「タオバオ(淘宝)」もアリババが2003年にリリースしたCtoCのECサイトです。中国のECサイトの歴史の初期からある有名サイトと言うこともあり中国人スタッフ曰く、ユーザーが多く品揃いもよい!という印象を持っているよう。
また、「農村タオバオ」という農村地区向けECを開設。農村部への物資の配送だけではなく、農産物を都市部へ届けるプラットフォームとして機能があり、農民のビジネス参入の道を開いたというレポートも。サイトを覗いてみると、トップページに農業機械があったり、ちょっと雰囲気が違う!ターゲットに合わせた細やかな戦略が垣間見ることができます。
③自社独自の物流ネットワークが強い「jd.com(京東商城)」
「jd.com(京東商城)」は、アリババグループとともに中国のEC業界の大きなシェアを占め、2004年にEC分野に参入してから、7年連続で200%以上成長を続けているECサイトです。元々はパソコンやスマートフォンなどデジタル家電の取り扱いからスタートし、今でもそのイメージが強いようですが、幅広いものを扱っている総合ECサイトです。
大きな特徴として、買い付けも自社で行うだけでなく、倉庫や物流システムを保有しており、中国各地域に広い物流網を整備。そのため、配送スピードの速さと高いサービスを売りにしており、日本で言うとAmazonのような形態で運営しています。
中国ならでは!?中国ECサイトの特殊事情
①みんなで買ってお得に購入!安さで人気のサイト「拼多多」
「拼多多」は2015年にリリースされたECサイトで、利用者数第三位と今勢いがあるECサイトです。他との大きな違いは、共同購入のシステムがあるため、まとめ買いなどをして安く商品を買いたい時に利用する方が多いという点です。
上海在住の中国人スタッフによると、とにかく安い印象があるとのこと。品質に対しては少し不安があるため、普段は自分では買わないが、たまに友達に誘われたら、安いのにはかなわない!ということで、時々共同購入をすることもあるということでした。
②売上額4.2兆円!中国ECサイトの一大イベント「独身の日」
中国で11月11日の「双十一」といえば、大規模セールが行われる一大イベントの日です。元々は「光棍節」とよばれ、1が4つ並ぶことから「独身者の日」として独身者がパーティーをしたりジョークとして始まったイベント。
それを2009年にアリババが、自社が運営するECサイト「天猫」で、大規模セールを開始したことから、様々なECサイトが大規模な値引き合戦を行い、宅配の量も大幅に増加するほど。ちなみに2019年の「独身の日」1日の売り上げは、アリババだけでも約4.2兆円!桁が違いすぎて、クラクラしちゃいそうです…。
③「網紅」の影響力とライブコマース
今や日本でも大きな影響力を持つSNS上で多くの影響力を持つインフルエンサーたち。中国語では、「網紅」と呼ばれ、中国のECサイト市場でも大きな影響力を持っています。
以前の記事でも少し紹介しましたが、中国のインフルエンサーたちは動画だけではなく、ライブコマースで商品紹介なども行い、2020年の中国のライブコマースの市場規模は4兆914億円に達すると想定されています。
さいごに
ニュースなどで中国のECサイトのことを耳にした事がある人も多いかと思いますが、実際に細かく見ていくとそのあまりにも大きな市場規模に驚いた方は多かったのではないでしょうか。
今も新しいサービスが生まれていて、まだまだ拡大の余地がある中国のEC市場ですが、事業検討のきっかけとしてこの記事が一助となれば幸いです。
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